流産しました。続き
旦那も子供も来てくれた。
旦那は私が心配になるくらい泣いていた。
数時間後、赤ちゃんと対面できた。
小さな白い箱の中に、指の先くらいの小さな小さな赤ちゃんが眠っていた。
目も鼻も口も、手足も指も綺麗にあった。
助産師さん曰く、「こんなに綺麗に出てきてくれるの珍しいことなんですよ」とのこと。
車椅子使わないで歩いて良かったなと、ほっとした。
本当に本当に可愛い子だった。エコーで見るよりずっと可愛かった。
私に似てたと思う。
お花と、長女の書いた手紙を添えて、お別れをした。
夜、旦那と子供達が帰っていった。
私はずっと、流産のことを考えないように、ひたすらスマホをいじり続けた。
comicoで漫画を読み漁って、頭を空っぽにして没頭した。
気を抜いたら絶対に泣いてしまう。
泣いてしまったら、絶対に立ち直れなくなってしまう。
単なる現実逃避に過ぎないし、自分のしていることは間違いのような気がしたけれど、これ以上悲しみに暮れたくなかった。
朝方4時ごろようやく寝落ちした。
6時に起きて、旦那が迎えに来るまでまたひたすら漫画を読んだ。
夕方17時ごろ、旦那が迎えに来た。
ずっと泣かずにいられたけど、旦那の顔を見たらもう耐えられなかった。
子供みたいにわんわん泣いた。
どうしても止まらなかった。泣き続けた。
「もうそろそろ帰ろう」
「涙が止まらないから帰れない」
「泣いてても良いよ」
「こんなみっともない姿で外歩けない」
「全然みっともなくないよ。偉いよ、頑張ったね」
頭を撫でてくれた。また泣いた。
流産って、こんなに悲しいことなんだな。
たった10週。
妊娠を自覚してからはたった1ヶ月半。
一緒に過ごした時間はそれだけなのに、こんなに自分にとって大事な存在だったのかと痛感した。
ただただ悲しかった。だけど同時に嬉しくもあった。産んであげられなかったけど、短い時間でも私のお腹で過ごしてくれたこと。私の子供になってくれたこと。あたたかい気持ちを沢山くれたこと。幸せなことだなと思った。
5日経った今は、日常生活に戻り、笑って過ごせています。悲しみに暮れる時間は全くと言って良いほどにない。
でもそれは多分、蓋をしているだけなんだと思う。
流産の直後、泣かないようにと、悲しみから目を逸らし続けていたから、きっと一時的に前を向くことができているだけ。
いつになるかは分からないけれど、いつかどっと悲しく辛い気分が押し寄せて、我慢していた分の涙を流すことになるんだと思う。
その時になって、現実の重さに潰れてしまわないかと不安で仕方がない。
今のところは、後悔も自責の念もなく、赤ちゃんとの大事な思い出として受け入れられているけどね。
流産しました。
5日前、流産した時の話。
金曜の夜中、陣痛のような痛みに襲われた。
痛くて痛くて、我慢できなくて病院へ行ったら、
流産の可能性が高いと診断されて緊急入院することになった。
子宮の収縮を抑制する点滴を夜通し打ってもらったけど、痛みはずっと引かなくって。
先生は、頑張ろうって励ましてくれたけど、
あーもう無理なんだなってなんとなく身体が悟っていた。
痛みがひどくて、出血も止まらなくて、
何度か内診してもらった。
赤ちゃんはちゃんと映っていたし心臓もぴこぴこ動いていたけど、希望なんて持てなかった。
近いうちに出ていってしまうんだろう、いつなんだろう、今日か明日かってそればかり考えていた。
日曜の朝。
痛みに呻きながらベッドで寝ていたら、突然すごい出血があって、
赤ちゃんが出ていったのがわかった。
ナースコールを呼んだ。パニックになりながら、赤ちゃん出ちゃった、って泣いた。
助産師さんが来て、診てもらった。
赤ちゃんです、と言われた。
完全に出てるわけじゃないから、処置室まで一緒に行きましょう、と。
もう無理なんですか?と聞いた。完全に出たわけじゃないのなら、もしかしたら、って思った。ありえないのに。
助産師さんは静かに頷いた。
涙が止まらなかった。
胸が潰れそうで、苦しくて、辛くて、叫び出したかった。
とにかく移動しましょうって、車椅子に乗せようとしてくれた。
「座ったら、赤ちゃん潰れちゃいますか」って聞いたら、助産師さん、答えに詰まっていた。
きっとそうなんだろうと思った。
車椅子には乗らず歩かせてもらった。
倒れそうになりながら必死に処置室まで歩いて、診察台に座ろうとした瞬間、また凄い勢いで出血があって、
完全に赤ちゃんが離れていったことが分かった。
涙と震えが止まらなくて、心臓が速くて痛くて、崩れ落ちそうになった。助産師さんが必死に支えてくれて、内診の間もずっと手を握ってくれていた。
麻酔を打って、意識が途切れて、気が付いたら処置が終わっていた。
こんなに悲しくて苦しくても、麻酔を打てば眠れるんだなって不思議だった。